こんにちは。看護師山岸です!
今は梅雨の時期ですが、春に桜が満開になると、ある光景がよみがえります。
毎年桜咲く季節になると、病院から当施設へ入居された方や、そのご家族が、「桜が見られてよかった」と穏やかな表情をされるのを目にします。 「お母さん、外に出られてよかったね」「お花見なんて何年ぶりだろう」――そんな何気ない会話に、私は胸が熱くなります。
私が看護師として働いていた頃、桜を見ることは当たり前のように思っていました。でも今、相談員としてご入居のサポートをする立場になり、「当たり前」なんて本当は存在しないんだと実感しています。 さまざまな事情で、桜を目にすることが叶わない方もいらっしゃいます。
ある日、入居されたばかりの方のご家族から、こんな言葉をかけられました。 「この数年、病院のベッドの上ばかりで、母は桜が好きだったことすら忘れていました。でも、窓から見えた満開の桜を見て、”きれいねぇ”って涙を流したんです」
そんな瞬間に立ち会えることが、私たち相談員にとって、何よりのやりがいです。
私たちのホームでは、季節の移ろいを感じられるような環境づくりを大切にしています。お花見の外出支援もその一つ。もちろんすべての方に同じ体験ができるわけではありませんが、少しでもその方にとって「その人らしい時間」を持てるよう、職員全員で工夫をしています。
ご相談の際、ご家族から「もう何も楽しみがないのでは」と不安な声をいただくことがあります。でも、入居後にご本人の表情が明るくなったり、小さな楽しみを見つけてくださる姿を見るたびに、人の可能性は最後まで続いているのだと感じます。
桜はまた来年も咲くでしょう。でも来年の春を、また同じように迎えられるとは限りません。だからこそ「今、この一瞬を大切にすること」が、私たちのケアの原点だと思っています。
もし、ご家族のことで「こんなこと聞いてもいいのかな」と迷われていることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に、その方にとって最善の道を考えていけたらと思っています。
パリアティブケアホーム 入居相談員・看護師 山岸